4歳下もアリですか?
その日は結構暇だった。
「自己紹介した?」
料理人の田中さんが聞いてきた。
田中さんはいつも楽しそうに料理をしていて、
よく話しかけてくれるおじさんだ。
「まだしてないです。」
わたしが答えると、
それを聞いていた彼が
「山澤俊(やまさわしゅん)っていいます。」
と、笑顔で言ってきた。
「野口梓(のぐちあずさ)です。」
わたしもつられて笑顔になりながら返す。
「よろしくね!」
「よろしくおねがいします。」
その日の会話はわたしが覚えているのはそのくらい。
その後のバイトの時間はずっと
わたしは彼を見ないように、
話さないようにって、
わざと距離を置いていた。
なんでかって言うと、
その時わたしには彼氏がいた。
だから彼には何の魅力も感じなかったし、
仲良くなる気もなかったんだ。