ヒスイ巫女

ヒスイが治癒能力を持っているのではないかと言う噂がたちまち広まった。
そして巫女様の耳にも入った
ヒスイが、巫女様に呼ばれた
巫女様と会ったのは初めてだった。
ヒスイから見ると祖母にあたる人だった。
「あなたは巫女になるには何がいるか知っていますか?」
巫女様と目を合わせず下をむいていた
「・・・知りません」
「巫女は代々治癒能力を持って生まれた者だけがなる事ができます。
能力をもっている人はごくまれにいますが治癒能力をもっているのはこの巫女の国の人でしかありえません
治癒能力を持つ者は巫女の国を動かす王のような存在になり国を動かさなければなりません。」
「はい・・・」
相変わらずヒスイはうつむいていた
「あなたは治癒能力を持っている
巫女である私には分かる
わかりますね
ヒスイ」
「・・・分かります」
ガラッ
ドアが急に開いた
そこには陸が立っていた。
「お兄ちゃん!!」
ヒスイの手首をつかみ部屋から連れさそうとしていた
背後でどなり声が聞こえた
「陸!あなたが今何をしているのか分かっているの!」
「分かってるに決まってるだろ!」
陸は巫女様を睨んでいた
そしてヒスイを連れていった
「お兄ちゃん!手痛い」
手を振り払った
「あっ、すまない」
「お兄ちゃんどうしてあんな事を?」
「・・・」
「聞かないでくれ」
冷たい声だった
ヒスイは静かに頷いた
「あのババァに何か言われても何もしてはいけないからな」
「・・・分かった」
「ヒスイ!」
蒼の声が聞こえた
「大丈夫か?」
「大丈夫」
わざと明るくいった
そこに元気になった来香がやってきた
来香には蛍がくっついていた
ヒスイの目線に合わせ来香がゆっくりと話し始めた
「ヒスイちゃん治癒能力はいい力だけど力を使う為には犠牲にしなければならない自分の物がある
例えば記憶とか人間が少しずつだけ消えていく物
そういう物を少しずつ消していけば力を使える
うまく使えばいい力だが大きな力を使えば犠牲が多くなる」
ヒスイは真剣に話を聞いてた
「きっとあなたは優しいからその力でたくさんの人を救おうとすると思う
だけど自分が体壊したら元も子もない
だから人の事も考えないといけないけど
一番に自分を大事にして」
「・・・うん」
小さく頷いた
小さなヒスイにとっては大きすぎる事だったがこの力を使いたくさんの人を救おうと考えていた
来香の言葉を、胸に込めて・・・
ここからヒスイの人生が大きく変わっていくなど誰も思ってもいなかった。
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