真愛 【絶賛スランプ中】
「俺は信じられなくて、もう息してないってわかってんのに3人の体を揺すり続けた。俺の叫び声を聞いて近所の人が異変に気付いたらしくてな…気付けば警察がわんさかと来てた」
そこまで言うと、豪毅は私を正面から抱き締めた。
「そっからのことは覚えてねぇ。ただ聞かされたのは、犯人は母さんに好意を持ってたやつで、自分から出頭してきたって話だった。犯人が捕まったって家族は返ってこねぇ。
それに俺の家族が殺されたってことは学校にも噂が広がって同情の視線ばかり送ってきやがる。それにうんざりして、髪染めたりピアスしたりした。そんな俺を親戚は引き取るわけねぇ。
でも、姉貴だけは仲良くしてくれたんだ。血が繋がってるのかもわからねえくらい遠い親戚だけど、『姉貴って呼んでいい』って言ってくれたし、一緒に住もうって言ってくれた。けど、俺は家族が残した資金と親戚が送ってくる金で一人暮らしを始めた」
一人暮らし…だからいつも倉庫にいるの?
「中2になったとき、繁華街で喧嘩してた俺を止めてくれた人がいたんだ。その人は龍神の4代目総長だった。相手が意識失っても殴り続ける俺を止めて、『龍神に入らねぇか?』って言ってくれた。俺が仲間なんていらねぇって言うとここに連れて来てくれて、『溜めてること吐き出さねぇと壊れんぞ』って言ってくれたんだ。その言葉で俺は張り詰めてた糸が切れたのか、泣きながら過去を話した。その人は何も言わず、同情もせずに聞いてくれた」