やばいトコを見られたっ!
「イッシ君はさー、どうしてそんなに、しおりちゃんのこと大事にするわけ?」


イッシ君は、どうしてそんな質問をするんだ、と言いたげな視線をあたしに向けてきた。


「大事なイトコだからだ。悪いか?」


「別に、悪くなんかないけどさっ」


「何でそんな絡んでくるんだよ。

いいよ、お前はまだ帰りたくないっていうなら、いくらでもここにいたらいい。

俺は、先に帰る」


腕にかけたあたしの手を振りきって、イッシ君が歩き出したから。

あたしは、その背中に向かって――


「もう今ごろさー、リクにやられちゃってるかもねっ」


なんて、思ってもない言葉を投げつけてしまった。
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