やばいトコを見られたっ!
「……」
あたしのその質問を聞いたイッシ君の顔が、少し曇ったような気がした。
「あ、お父さんの跡をついで政治家になるのが夢なんだっけ?」
そっか、大学も政治経済学部だしね。
「まあ、そうだけど……
でも、父さんは、きっと弟の方に継いで欲しいと思ってると思う。
アイツの方が、実子だし。
だから俺は、別の道を見つけないといけないと思ってさ。
幸いプログラミングの才能があったみたいだから、結果的にその道で生きていくことになるかも」
「え? 本当のところは、プログラマーじゃなくて政治家になりたいの?」
「そうだけど……」
「じゃあ、そっちを目指せばいいのに」
「そんな簡単な問題じゃねーんだよ。
養子には、養子なりの悩みがあるわけ」