やばいトコを見られたっ!
とりつくしまのないイッシ君に、あたしは、わざと大きなため息をついた。


「分かった。じゃああたし、やっぱり事務所の寮に帰ることにするわ」


「せっかく俺が、情報を教えてやったのに?」


「だって、ほかに行くところもないし。

また社長のさしがねでどこかのオヤジのベッドに売られちゃうかもしれないけどね。

まあ、どうせそれがあたしの運命かもしれないし」


「あっそ。運命なら、逃れられないな。お気の毒に」


「それで、それを機に転落の人生をたどることになっても、イッシ君のせいだなんて言わないから安心してよ」


「実際、俺のせいではないからな」

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