初恋は一言から

おっと話がそれたか。

で、目の前にいるこの理事長が元迅竜の幹部の一人。

「どうなんだアイツらは?」

「えっと…普通。まあアイツらにかなう敵なんてそうそういないし」

「そうか。ならいい。もし、喧嘩が絶えないなんてあたしの耳に入ったら容赦しないけどね〜」

悪魔のような微笑みで魏姫は言う。

「……」

この学校は学力がトップクラスの男子しか入れない。

表向きではそうだ。

でも本当は族に入っていて頭のいい人と財閥もいるちょっとアブナイ学校なのだ。

簡単に言えば財閥、秀才、ヤンキー(頭のいいヤツに限る)がいるのだ。

受験はあるけど大抵この学校に入る人は上の条件を満たしているのでほとんどの人が落ちることは無いらしい。

半分くらい出来レースな気もする。

たまに男子高なのにイケメン目当てで入りたがるバカな女子もいるらしい。

生まれ変わってからくるといい。

「ねえ氷瀬乃?あたしのクラスどこ?」

「……」

「黙んないで言いなさい」

にらみを利かせて聞く。

こんな風に黙るのはあまり都合がいいことが起こってない証拠。

果たしてどうなることやら。

「1年Aクラス。ちなみに場所は魏姫の要望に応えて一番端の建物にしたけどいい?」

「うん!ありがとう〜じゃあ行くね〜」

よしよし、最悪の結果は免れたぞ。

ルンルン気分で部屋から出ようとドアノブに手を掛けた時。

思い出した。

くるりと回り、氷瀬乃に向かって満面の笑みで言う。

「入学式サボるからよろしく!」

「…やっぱりか…どうせダメって言っても聞かないしもういいよ…」

「何か言ったかな?」

小言が聞こえたような気もするが。

「な、なんでもないです」

ひきつった顔で言ってくる。

今は気分がいいから見逃してあげよう。

うん、あたし優しい!


ルンルン気分のあたしはこの後の大変なことが起こるなんて思いもしなかった。

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