初恋は一言から
「…………寮に住まなくちゃいけなくなってるんだ」
「…」
突然告げたお別れに近い言葉。
誰だって戸惑うだろう。
別に本当のお別れとかじゃないんだが…
俺は静かにかーさんの様子を見る。
「…魏姫も寮なの?」
「ああ。原則として四天王以外も寮に入らなければならないらしい。知らなかったけど……」
「そう…」
かーさんは少し寂しそうな顔を一瞬だけ見せたがすぐにいつも通りの優しい顔に戻り、
「寂しいけど、学校の決まりなら仕方がないわね。でも特訓とか迅竜に関わることはどうするの?」
あ、忘れてた。
毎晩迅竜のメンバーは特訓という名の訓練をしている。
メンバーを3つに分け、1日置きに行っている。
そのプログラム、指導の両方を携わっているのが魏姫だ。
すなわち、魏姫がこの施設にいなくなると特訓も何も出来なくなってしまうかもしれないのだ。
もちろん勉強も。
「理事長に聞いてみる。あの人一応元迅竜の幹部だから」
「ならどうにかなりそうね」
かーさんがほっと胸をなでおろす。
洗濯物畳んじゃうか。
魏姫の負担少しでも軽いほうがいいし。
明日から大変だからなぁ…
「んじゃかーさん。俺洗濯物畳んでおくわ。魏姫が早く眠れるようにね」
「ありがとね。魏姫に聞かれたら言っておくよ」
「ハイハイ」