初恋は一言から
「それにしてもなぁ…」

いきなり言われた入寮強制。

今までこの施設以外で気が休まる所はなかった。

むしろここ以外で気が休まらない。

魏姫というと存在の影響のせいかもしれないが。

「学校の決まりだししょうがないか…」

そんなことを言いながら制服を脱ぐ。

「っ‼︎」

いった。

丁寧に脱がなかった罰か。

俺の右腕、だいたい手首の少し下には傷がある。

もう2度と綺麗な傷のない腕に戻ることが出来ないくらいの。

小さい頃の傷だ。

極度のストレスによって自分の体を傷つけるのが昔癖になってしまった。

魏姫にバレてこっぴどく怒られたんだっけ。

しかも魏姫、怒りながら泣いてたし。

それ以来自分を傷つけるのはやめた。

魏姫っていう心の支えでもあり、大切な人ができたから。

もう自分のやったことで魏姫を泣かせたくない。

そう決めたんだ。

「さて、行くか」

部屋着に着替え、洗濯物を畳にいく。

ついでに誰かに手伝ってもらうか。

俺1人じゃ少し時間がかかるし…

そんなことを思いながら階段を降り、庭に向かう。

「「あっ、魅火流にぃだ‼︎」」

ドタドタ走ってくる。

ちょうどいい、手伝ってもらうとするか。

「秋架(しゅうか)、婢乃(ひの)、洗濯物畳むの手伝ってくれないか?」
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