初恋は一言から

「あいつは780点。3年の中ではトップ」

「ふーん」

…ヤバいな。

迅竜の上位の人の学力が全体的に下がってる。

妃出之園以外の人にはあんまり勉強教えてないからな。

勉強のやり方は教えたけど。

「…なんで芹の成績が発表された時拍手がなかったんだ?」

「それは…芹があの癖のせいだからだよ」

「ああ、それでか」

あいつは確か目立ちたがりたくなく、目立つと目つきが悪くなり、睨んでしまうという癖がある。

これを癖というのはなんだか違うような気もするが。

「じゃ、ちょっといってくるわ」

「両方?」

「うんにゃ。真輝音だけ。芹、今日会えないと思うし」

「そう。なるべく早く帰ってきて。テスト問題来るから」

「りょーかい‼︎」

そう言って1年Aクラスの教室を出る。

誰かに"早く帰って来て"って言われたの久しぶりだ。

魅火流とは同じ施設だったがあまり言われなかった。

最近魅火流と仲良くなったし。

昔は喧嘩友達みたいで和解出来なかったんだよなぁ。

懐かしい。

今思うと最近魅火流の事を急に意識するようになった。

正確には昨日からか。

高校生になって雰囲気が変わったからか…?

なんなんだこの気持ち。

考えても答えが出なさそうなので考えるのをやめる。
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