初恋は一言から
「お、俺用事思い出したから...」

そう言ってエレベーターを止めようとする真輝音先輩。

「俺もぉ」

続いて芹先輩も真似し始める。

「あのー、着きましたよ 」

チン! と音をたてて一階についた。

音もしないで静かに、扉は開いてく。

今のエレベーターの人間配置図はボタンの前に真輝音先輩。

扉の真ん前に芹先輩。

ボタン側の後ろにあたし。

その逆方向の後ろに魅火流。

「さあ、先輩方。エレベーターから降りましょうか」

必然的に二人を降ろすことになる。

ギギギという音がしそうな感じでゆっくりと降りてゆく。

オイルを注していないロボットのような動きをしている。

2人が降りたところであたしらも降りる。

先輩2人はもう諦めたらしく大人しく歩いて行ってくれる。

ありがたい。

玄関から出ると一台の車が目の前に止まった。

ちょっと嫌な予感が…

「ハーイ‼︎乗って頂戴。乗せて行ってあげるから」

「げっ」

悪い予感的中。

刹戯の登場。

よりによってこのタイミング…

「遠慮なく」

「お願いします」

「ありがとうございます」

上から真輝音先輩、芹先輩、魅火流。

ってええ⁉︎

「なんでちゃっかり乗ろうとしてんの⁉︎」

あいつの車に乗ると必ず酔うよ⁇

某魔法小説の夜のバス並みに運転荒いよ…?

「魏姫、ほらのって。行くよ」

魅火流が首を軽く傾げながらそっと手を差し伸べてくる。

くっ、不覚にも可愛いと思ってしまった。

結局逆らえずあたしは渋々刹戯の迎えにきてもらった車に乗った。
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