薬指の秘密はふたりきりで

群がってるのは皆二人の友人らしく、皆が皆スマホで写真を撮っている。


「彩乃!来てくれてありがとう!ここ遠かったでしょ、ごめんね」

「ううん、全然平気。それよりも、冴美!おめでとう!とっても綺麗だよ!悠木さんも素敵です!」

「ありがとう」


はにかむ冴美たちに、胸に名札をつけた人が声をかけてきた。


「では、みなさんお揃いになりましたので、そろそろ始めましょう――」



開始時間になると、司会の進行でケーキカットなどの一般的な儀式が一通りすすめられていく。

親戚代表の乾杯の合図で一気にくだけて、各々自由にし始めた。

料理を取りに行く人、主役である二人のところに駆け寄って行く人、様々だ。


「私、お料理取ってくるね。亮介はここで待ってて」


美しく盛り付けられた料理を前に、どれもこれも美味しそうで迷うけれど、適当に選んでお皿に乗せていった。

亮介は嫌いな食べ物がない・・・はず。


トレイに乗せて戻ろうとすると、亮介の周りには人が集まっていた。

人っていうか、女子が。それも5人も。


「亮介、お待たせ。はいどうぞ」


隣に立って亮介にお皿を渡すと、囲んでいた子たちの視線が私に集中した。

上から下まで眺められてちょっぴり嫌な気分になったけれど、彼女達は冴美の友達だ、挨拶しながらにこっと笑いかけてみる。

と。

「こんにちはぁ」って曖昧な感じで笑い返して来て「それじゃ・・」って逃げるように離れて行った。


「ね・・・何を話してたの?」

「特に何も。独身ですか?とか、誰の知り合いですか?とか、聞かれただけだよ」

「そう、なんだ・・・」


彼女達はお祝いで来ているけれど、心の隅では新しい出会いなんかも期待してるんだと思う。

亮介は目立つもの、真っ先に調査に来たんだ。
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