薬指の秘密はふたりきりで
ソースも残さないくらいにぺろりと平らげてくれたお皿を片付けて、珈琲をいれた。
リビングのテーブルの上にカップを置いた途端、すっぽりと、亮介の腕の中に入れられた。
そのまま顎を固定されて、貪るような深い口づけをされながら服がどんどん脱がされていく。
「ん・・りょうすけ・・・コーヒーがさめちゃ・・ん」
「後でいいよ。なんなら、俺がいれる。今から一緒にお風呂に入るよ?」
ひょいと持ち上げられて、有無もなくバスルームまで連れられていく私は、すでに下着さえも剥がされている。
「亮介、待って。一緒って、あの」
「覚悟してって言っただろ」
確かにそう言っていたけれど。
亮介とお風呂に入るなんて聞いてないし、恥ずかしすぎて、いろいろ大パニックだ。
私のアパートのより広いバスルームの中、キスをされながら体の隅々まで洗われてとろとろに蕩けた私を、亮介は自由自在に動かした。
「これで終わりじゃないよ」
すでにくったりとしてる私の耳元で、ぞっとする言葉を言う。
焦っていると、さっさとバスルームから連れ出されてベッドの上に転がされた。
プラネタリウムのように天井を照らす幻想的な間接照明の中、今度は丁寧に、時間をかけて抱かれた。
「亮介・・好き」
何度もうわごとのように言ってたのを覚えてる。
亮介が私の名前を呼んでくれていたことも。
気付くと、隣に亮介がいなくて、部屋の中に珈琲の香りがしていた。