soleil
カランコロンーー
手動のドアをあけるといつもの可愛い音がした。
「いらっしゃい」
50代くらいのおじさんはこの喫茶店のオーナー。通称けんちゃん。
白髪混じりでとてもダンディーな人。
小学の時からよくアタシをかわいがってくれてて優しい人。
「アイスティーね」
「はいよ。学校どうだった?」
「いつもどおりでふつー」
「ハハッ、そうかそうか。まぁ普通が1番いいからいいってことか」
「んー多分」
「はいどうぞ」
「けんちゃんさんきゅ」
「はーい」
「まお何してるかな~」
「ん~、どうだろうねぇ。」
「兄弟だし双子の兄だしなんかやっぱり気になるんだよね」
けんちゃんにはこんなことも楽に話せる。家族よりも友達よりも1番アタシの心を知ってるのはけんちゃんかもしれない。
「さきの家族なんだから、きっと生きてると思うよ。大きくなった今、探すことは難しいかもしれないけど」
「そうだといいんだけど。」
「でも俺一度見てみたいな~。さきとどれくらい似てるんだろっ。男前かな?」
「なにそれ!アタシ女なんですけど~?」
「違う違う!さきは美人だし勇敢だからきっとそうなのかなってね!」
「けんちゃんあたし馬鹿にしてるでしょ?もー、今日はけんちゃんのおごり!」
「いつもだろばーか」
けんちゃんはグラスを拭きながらシワを作って笑っていた。