30歳の異世界トリップ
誰かに頭を撫でられてる?
僅かにも力をいれないで羽のように労るように…
気持ちいい…。
小さい頃はよく撫でてもらってた気がする。
いつの間にか大人になり、この感触忘れてたなぁ…
夢とも現実ともつかない中で、誰かが必死に私に声をかけてた。
凄く心配そうな声で、私は「心配しなくてもいいよ」と言いたかったのだけれど…音になることは叶わなかった。
ーーピ。
ーーーピピッ。
「うぅぅ…」
もう朝か。
昨日もケータイ小説読みすぎたな…
いつもより眠りが深かったのだろうか?
枕元にあるはずのスマホを探す手がなかなか言うことを聞いてくれない。ない。スマホない。
「あ…れ?」
つるつるのシーツにふかふかの枕。
羽のように軽い布団。
私の布団じゃない…
だんだんと意識がはっきりとしてきた。
私の部屋じゃない!
石造りの部屋には暖炉があり、暖かな灯りが漏れている。
私の寝てるベットは天盖付きでお姫様が好んで愛用してそうな感じだ。
「ここどこ…?私、どうして…?」
ーコンコン。
カチャリ…
「ああ!良かった!気がつかれたのですね!」
開いたドアから顔を出したのは薄茶色のくるくるウェーブのかかった髪をした、可愛らしい女の子だった。
「ご気分はどうですか?お辛いところはごさいませんか?喉は渇いておりませんか?」
「え…と。」
矢継ぎ早に質問されてどれに答えて良いのか迷った。
この子誰だろ?メイド服みたいな格好してるけど…
コスプレ?
物凄く似合ってて可愛いけど!
「も、申し訳ごさいません!気がつかれたばかりなのにこのように色々と…」
真っ赤になってうつむくメイド?さん
「申し遅れました。私、リアと申します。」
背筋をしゃんと伸ばし、折り目綺麗に頭を下げるメイド?さんもといリアさん
「あっ…と。私は立野咲です。」
私が名乗るとリアさんは目を輝かせてズイッと近づいてきた。
「サキ様と言うのですね!素敵なお名前です」
はうぅ~と言わんばかりに頬っぺたをうっすら染める。
「サキ…様!?サキでいいですよ?様なんてつけないでください」
「そんな無礼なことはできません!レイノール様のお客様ですもの!」
レイノール?
そうだ、ここが何処だかリアさんならわかるかも!
「リアさん。ここは何処ですか?日本のどの辺りでしょうか…?」
「ニホン?」
リアさんはこて?と、可愛らしく頭をかしげる。
やっぱり、日本じゃないんだ…
方法は分からないけど外国に来ちゃったんだ。
「外国ですか?アメリカ…ヨーロッパ…どこの国でしょうか?」
場所さえわかれば帰り道もなんとかなるはず。
パスポートはないけど、日本領事館に行けば保護だってしてもらえるはず…だよね。
「…申し訳ごさいません。サキ様の仰られてる国では御座いません。ここは、イシュリム王が治めておりますリム国に御座います。」
リム国…そんなの聞いたことない…
一番恐ろしい…けれど、頭の中では理解しつつあることを聞いてみた。
「ここは…地球ですよね…?」
「?いいえ?チキュウと言うのは初めて聞きました。」
ーーー地球じゃない。日本じゃなければ外国でもない。
やっぱり、アレだ。
アレしかない…
私が毎夜毎夜はまってたケータイ小説の「異世界トリップ」って言うやつしかない!!
こんな…まさか本当になるなんて…
無意識に自分で自分の体をきつく抱き締めていた。
そんな私の様子を心配そうに見ていたリアさんが
「……サキ様?大丈夫ですか?お顔の色が優れません…」
と、言ってお湯で絞ったであろうホカホカのタオルで汗を拭ってくれる。
「あ、りがと」
「私は国のことには詳しくありません…レイノール様にお会いになられてください。レイノール様は博学でいらっしゃいます。きっとサキ様のお知りになりたいことに答えてくれるはずです…」
穏やかに優しい微笑みで、私を見つめる目には嘘はなかった。
「わかりました。レイノール様に会わせてください」
幾分落ち着いた私にリアさんはホッとした顔で
「かしこまりました。少しお待ちください」
と、言って出ていった。
僅かにも力をいれないで羽のように労るように…
気持ちいい…。
小さい頃はよく撫でてもらってた気がする。
いつの間にか大人になり、この感触忘れてたなぁ…
夢とも現実ともつかない中で、誰かが必死に私に声をかけてた。
凄く心配そうな声で、私は「心配しなくてもいいよ」と言いたかったのだけれど…音になることは叶わなかった。
ーーピ。
ーーーピピッ。
「うぅぅ…」
もう朝か。
昨日もケータイ小説読みすぎたな…
いつもより眠りが深かったのだろうか?
枕元にあるはずのスマホを探す手がなかなか言うことを聞いてくれない。ない。スマホない。
「あ…れ?」
つるつるのシーツにふかふかの枕。
羽のように軽い布団。
私の布団じゃない…
だんだんと意識がはっきりとしてきた。
私の部屋じゃない!
石造りの部屋には暖炉があり、暖かな灯りが漏れている。
私の寝てるベットは天盖付きでお姫様が好んで愛用してそうな感じだ。
「ここどこ…?私、どうして…?」
ーコンコン。
カチャリ…
「ああ!良かった!気がつかれたのですね!」
開いたドアから顔を出したのは薄茶色のくるくるウェーブのかかった髪をした、可愛らしい女の子だった。
「ご気分はどうですか?お辛いところはごさいませんか?喉は渇いておりませんか?」
「え…と。」
矢継ぎ早に質問されてどれに答えて良いのか迷った。
この子誰だろ?メイド服みたいな格好してるけど…
コスプレ?
物凄く似合ってて可愛いけど!
「も、申し訳ごさいません!気がつかれたばかりなのにこのように色々と…」
真っ赤になってうつむくメイド?さん
「申し遅れました。私、リアと申します。」
背筋をしゃんと伸ばし、折り目綺麗に頭を下げるメイド?さんもといリアさん
「あっ…と。私は立野咲です。」
私が名乗るとリアさんは目を輝かせてズイッと近づいてきた。
「サキ様と言うのですね!素敵なお名前です」
はうぅ~と言わんばかりに頬っぺたをうっすら染める。
「サキ…様!?サキでいいですよ?様なんてつけないでください」
「そんな無礼なことはできません!レイノール様のお客様ですもの!」
レイノール?
そうだ、ここが何処だかリアさんならわかるかも!
「リアさん。ここは何処ですか?日本のどの辺りでしょうか…?」
「ニホン?」
リアさんはこて?と、可愛らしく頭をかしげる。
やっぱり、日本じゃないんだ…
方法は分からないけど外国に来ちゃったんだ。
「外国ですか?アメリカ…ヨーロッパ…どこの国でしょうか?」
場所さえわかれば帰り道もなんとかなるはず。
パスポートはないけど、日本領事館に行けば保護だってしてもらえるはず…だよね。
「…申し訳ごさいません。サキ様の仰られてる国では御座いません。ここは、イシュリム王が治めておりますリム国に御座います。」
リム国…そんなの聞いたことない…
一番恐ろしい…けれど、頭の中では理解しつつあることを聞いてみた。
「ここは…地球ですよね…?」
「?いいえ?チキュウと言うのは初めて聞きました。」
ーーー地球じゃない。日本じゃなければ外国でもない。
やっぱり、アレだ。
アレしかない…
私が毎夜毎夜はまってたケータイ小説の「異世界トリップ」って言うやつしかない!!
こんな…まさか本当になるなんて…
無意識に自分で自分の体をきつく抱き締めていた。
そんな私の様子を心配そうに見ていたリアさんが
「……サキ様?大丈夫ですか?お顔の色が優れません…」
と、言ってお湯で絞ったであろうホカホカのタオルで汗を拭ってくれる。
「あ、りがと」
「私は国のことには詳しくありません…レイノール様にお会いになられてください。レイノール様は博学でいらっしゃいます。きっとサキ様のお知りになりたいことに答えてくれるはずです…」
穏やかに優しい微笑みで、私を見つめる目には嘘はなかった。
「わかりました。レイノール様に会わせてください」
幾分落ち着いた私にリアさんはホッとした顔で
「かしこまりました。少しお待ちください」
と、言って出ていった。