30歳の異世界トリップ
レイノール様の話を聞くと、色々なことがわかってきた。
まず、此処はやはり地球の日本でも外国でもなく
リアが教えてくれたように、イシュリム王が治めているリム国と言う所だそうだ。
この世界には七人の王がいてそれぞれがそれぞれの国を治めているのだそうだ。
その中の一人イシュリム王は雪の王だそうで、この降り続いている雪は季節的なものではなくて、一年中ずっーとこの調子らしい…
寒さの苦手な私はこの国が少し苦手になりそうだ。
そして、私を助けてくれた真っ赤な髪のレイノール様…
あの時…気を失う前に見た赤い髪はレイノール様だったんだ…
この国の元聖騎士で今は引退し、後継者育成に尽力しているのだそうだ。
「聖騎士も七人の王になぞらえて七人いて、聖騎士を筆頭にこの国なら雪の聖騎士団…と、言うように国毎に名前が異なるのだ」
リアが淹れてくれた紅茶に口をつけながらこの国のことを説明してくれる。
「…サキさん。そろそろ教えてもらえるだろうか?君はこの国の…いや、この世界の人間ではないね?」
「ーっ。は、い。」
「やはり…初めて見たときから不思議に思っていた。君の着ていた服に、髪の色、瞳の色、すべてがこの国のどれとも当てはまらないからね。」
今まで、この話に触れなかったのは単純に私の体調や混乱してるだろうことを考慮してもらってたのだと思うとレイノール様に感謝しかない。
どこから来たのか、怪しさしかない女をなにも言わずに保護してくれてる…
それだけでも、このレイノールと言う男は信頼に足るだろうと思った。
まぁ、このまま全幅の信頼を寄せるほど子どもじゃないけどね…
「ふぅ…。とりあえず、今のところはこれだけで充分だよ。サキさんも高熱を出して3日も寝込んでたんだからね。病み上がりにすまなかったね。自分の家だと思ってゆっくりしてもらってかまわないよ 」
「そ、そんな!助けていただいた上にさらにお世話になるなんて…」
「そうはいっても、右も左もわからないんだろう?この雪の中を女性一人放り出すなんて私にはできないよ」
ふっと、また優しく微笑まれる。
ーーっ。この笑顔反則だよ…。
笑わないとわからない、目尻に出来る皺…
よく見るとレイノール様はかなり年上なのでは?
遠目からではわからなかった、ただのイケメンではないことに気が付いた。
甘えちゃダメなんだろうけど…ほんとに右も左もわからないし…少しだけお世話になっていいのかな…?
「本当にありがとうございます。仰られるようにこちらを追い出されると行く宛がありません。なんでもしますから、こちらに置いていただけますか…?」
「勿論。サキさんはお客様だよ?いたいだけいていいからね。」
そういうと、仕事があるからとドアに手を掛け
くれぐれも無理はしないようにとこちらには目を向けず言い含めて出ていった。
「~~っ。ーーーはぁ」
き、緊張した。
とりあえずは衣食住は確保できたみたい…
すると、今まで一言も発せず大人しくしていたリア(リアの存在忘れてた!)が
「レイノール様はサキ様を気に入られたようですね」
と、爆弾発言するもんだから残ってた紅茶を飲み干そうとしてた私は「ぶふぉっ!」とむせかえり
リアに背中をさすってもらいました。
「な、なに言い出すんですか!」
「レイノール様はとてもお優しい方なのですが、少し誤解を受けることもあるのです」
そういうと「では、ごゆっくりしてくださいませ」と、言い出ていった。
誤解?
なにをどう誤解したらあの優しい方を誤解するのだろう?
けど、まだ会ったばかりだし…
わからないことだらけだ。
色んなことを、考えて詰め込みすぎて少し疲れた…

ポスンッ と、ベットに倒れこみ
私…これからどうなるんだろ…
こめかみを手で押さえながら深い微睡みに落ちていったーーーーー。

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