十日目の判決 -完-
木村の話は分かったけど。でも、待て。
私と結希は確かに仲は良いしよく一緒にいる。
お互いの事も良く知ってるし分かり合えている。
だけど、恋愛だとかそういうものに対して結希がどう思ってたりどういう恋愛をしてきたのかしんに触れるような話は全くしない。
女子が大好物の恋バナを私と結希は全くしないのだ。
現に結希に彼氏がいることは私は知っていたけど、妖怪スピーカーがその彼氏だという事は知らなかったし、恋バナで私と結希は仲良くなろうとしなくても一緒にやっていける。私たちはそんな距離を持っている。
「結希にあの男誰?とでも私がきけば良い?」
「えぇ!!だめでしょ〜それは!!」
いやいやいや。結希に私が彼氏の事どう思ってんの?なんてきけるわけないし、結希は好きな人じゃないと付き合わない。そんな事、私はちゃんと知ってるから結希に直接聞くような事ではない。
「まずは結希の浮気疑惑をはっきりさせたら?」
「う〜んっ!そうだ!ケケケッ!結希ちゃんの様子を見ててくれな〜い?怪しいとこないか見ててよぉ〜!」
監視ですか。さようですか。
嫌だぞ、友達を監視なんて気分が悪い。
「むり」
「ウハハッ!!無理じゃないないなぁ〜いっ!!!おれクラス違うしぃ〜一日中結希ちゃんの側に居れるわけじゃないしぃ〜?いのも結希ちゃんと同じ4組なんでしょ?ケケケッ!お〜ね〜が〜い〜っ!!」
良いよ、うん。何でも。もう妖怪スピーカーには敵わない。1秒でもこの場を早く離れなければ私の耳が、鼓膜が危うい。あのヒステリックバイオレンス女のダメージも残っている。
ああ、今日は強敵が2人も出てらぁ。
「…わかった、出来ることはする」
「いやっほーーー!!!!!!!さすがいの〜!ケケケッ!!!おれは放課後結希ちゃんを尾行して男の正体突き止めるし、探偵ごっこがんばろ〜!!ガハハハ八ッ!!」
…ああ、ダメだ。凶器だよ妖怪スピーカー。存在自体が凶器だよ。叫ばないで。
そしてこれは、
探偵ごっこなのか。
君はどこでもいつでもハイテンションだな。
そしてみなさん忘れるな、妖怪スピーカーはこれでもイケメンだ。学校1のイケメンだぞ。
信じられないだろう。