十日目の判決 -完-
結希の彼氏は結希が犯したことを
悲しまないと思う。
だけど、
そのことを知ってしまったら
傷付くんじゃないか。
結希は彼氏を裏切ってない。
妖怪スピーカーが好きな結希はちゃんとそこにいる。
結希の妖怪スピーカーへの気持ちは変わってないから。
「いっ…」
「結希、唇を噛んだら血が出るぞ」
椎名が何かを言おうかしたけど、唇を噛み締める結希を見た私の発言によって遮られた。
結希は泣くのを必死に堪えてる。
私はハンカチを取り出して結希に差し出した。
「使って。泣きたくないなら、代わりに噛んでいいから」
結希は泣くのを嫌うはず。
私は結希の手を取ってハンカチをもたせた。
結希の体が揺れる。
苦しいだろう。吐き出してしまいたいだろう。
私が結希をそうさせたんだ。
こんなにも純粋で素直な結希を。