十日目の判決 -完-






私は結希の泣く姿なんて見たくない。
それだけだ。



「…ほんっと、ごめ…なさい」



…謝るな、お願いだから。

ハンカチを握る結希の手は力強く拳をつくっている。


…どうしてこんなにも、
見てる私にまで痛いのが伝わってくる。



「あた、し…が木村くんに対しておかしかったのは多分…うしろめたかったから。こんなあたしが平気で木村くんの隣にいて良いのか…わからなくなってたから」


結希の視線は下を向いている。
多分、どんな言葉を使ったら良いのか
考えてるんだ。



「…結希ちゃん、」


心配する椎名の声が響く。



「いいの。もう隠せないよ。
いのちゃん、あたしが全部悪いの。
全部ちゃんと話すって言ったし、話すね?」


そう言う結希の声は芯が通っていた。


「ありがと」


話してくれるらしい結希に私はお礼の言葉をかけるしかなかった。

辛いのに話そうとしてくれてありがとう。


結希は良い子だ。








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