十日目の判決 -完-
「いのちゃん、おかしいと思わない?」
結希はさらに話を続ける。
「あたしと椎名くんがプレゼント買ったの4月だよ?あたしだったらそんな前から次の月になる誕生日のプレゼント買ったりしないかな、」
……楽しみ過ぎてそれくらい前から買っておく人、世の中に結構いると思いマスヨ。はい、すいません。
「椎名くん、一年記念で本当はプレゼント渡そうとしてたんだよ。椎名くんはね、本当にいのちゃんのこと想ってるよ。いのちゃん、わかって…?」
そうだったのか。
私が先帰ったりなんかしたから…。
私の表情を伺ってくる結希はまた、段々と不安そうに眉を下げた困った表情をしていた。
結希の瞳はキラキラと、まっすぐ私を捉えている。
今にも零れ落ちそうなくらい、
結希の目には涙がたまっていた。
瞬きでもしたら、
その涙の膜は雫となって頬を滑るだろう。
私が、泣いてしまいたい。
だけど私は涙なんてものは溢れてこなかった。