十日目の判決 -完-
教室に残ったのは私と椎名だけ。
浮気された彼女と
浮気をした彼氏。
「……椎名っ」
自分でも驚くほど低い声が出た。
椎名は私のほうへ体をむける。
頼り無さそうな表情が、苦しそうに顔をしかめている。
冷たい緊張感が流れる。
「自分が何したか、分かってる?」
浮気をされた彼女が、
彼氏を怒らないはずがないのだ。
結希はああ言ったけど、
今の私は椎名をせめるしかない。
地を這う唸るような私の声は
本気で怒っていた。
どんな理由があれ、
許されることではないだろ。