十日目の判決 -完-
「それは良かった」
椎名はまたへらっと笑った。
なにが良かった、だ。
私は椎名の目を見るのをやめた。
「いの、1年の終わり頃から俺のことどう思ってた?」
「………」
「正直に言って」
「いてもいなくても気にしなかった」
あの頃、丸一日話さなくても良くなってた。
「……覚悟はしてたけど容赦ないね、それ。」
君が言ったんだろが。
「2年にあがると…もういのの中に俺いなかったよね?俺、それに気付いたんだよ。でも、うん…だからと言って浮気は良くなかった…本当に悪かった。」
ここで、初めて椎名は謝罪の言葉を口にした。
椎名は深く頭を下げる。
「でも俺の気持ち…」
「わかってる、私が最初に君を傷付けた…」
そうだろう?知ってる、私が本当は全部悪い。
私が一番、椎名や結希に謝らなければいけない人。
ああ、悔しい。ここでそう思う私はほんとクズ。
私は椎名の浮気の理由を認めたことになる。
椎名は頭を上げた。