十日目の判決 -完-
この教室で、
こんな修羅場をする私たちはバカだ。
椎名は一度目線を落とすと、
何かを決めたように私を見る。
「俺といのはさ、お互いに傷付けられて、
……お互いに傷付けた。それじゃダメかな?」
「うんダメ、だから許せない」
椎名のことも。
私のことも。
どっちも許せない。
椎名はヘラっと笑う。
「もー、それじゃ解決しないんだって。
俺といのは同じだけの罪を、過ちをおかした。傷付け傷付き合って俺らはそれで良いんじゃない?」
椎名の優しい声が、私に響く。
「…いのの辛さを少しでも解きたいよ。自分を追い詰めないでさ、俺がいるし。俺がいのを苦しめるものから守るから……疲れたでしょ、1人で考えるの。」
……うん、疲れたよ。
本当、疲れた。
「俺はいのが好きだよ。
いのが自分のこと嫌になっても俺はいのが好き…
だから別れてやんねー。」
椎名のこのちょっと強引なとこ…
前にもあったな。
‘‘付き合おう’’
あの時もこんなふうに傍聴人たくさんいたな。
羞恥心と言うものを知らないのか。君は。
どうしていいかわからない。
私は重く息を吐いた。