十日目の判決 -完-
自分のくつ箱からローファーを取り出し、履いていた上履きをくつ箱の中へ入れる。
ほんと、明るいな。小学生たちより下校時間早いんじゃないか。
「ゴールデンウイーク終わってから更におかしくなった!!!本当の事言ってよ!!!!」
ヒステリック女、そろそろ喉引きちぎれるぞ。
「はあ?変わらないだろ、」
あれ。ちと、男は強気になったじゃないか。
「ねぇ、あの女でしょ!?ゴールデンウイークのあの日、女と居たんでしょ!?アタシは!?別れるの!?何!?」
……。そういうことか。この2人はカップルと言うやつなのか。全然、ラブラブそうじゃないけど。
「浮気者っ!!さいってい!!!!最後くらい男らしく認めなよ!?言い訳あるんだったら筋通ってる事言って!!!」
ほうほう、バイオレンス。
「……。」
いや、男よ。何か言おうや。
何も言わない男に、シーンと静けさが漂う。
そして、女の鼻をすする音が聞こえた。
泣き出したか。こんなことになる前までは仲良くいちゃこら2人はしてたんだろうなぁ。何を間違えてこんな結果になったのか、正しい事は何も分からん。
「なん、で…なんで浮気なんか……したのよっ」
さっきまでの気迫とは違うか細い声。
男は何で浮気なんかしたんだろうなぁ。
そもそも浮気相手だったのは君のほうかもしれんぞ。
二股かけられたのはお気の毒だ。
で、女は何に対してのその涙なんだ。
本人は分かっているんだろうか。
浮気された事が悲しいのか、
男と別れたくないのか、
男との関係が終わるのが怖いのか。違うだろ。