十日目の判決 -完-
7. 5月19日
今日も結希は結希だった。
監視と言ったら聞こえが悪いけど私は今日も一日、結希を見守った。
昼休みは彼氏の妖怪スピーカーと過ごしたらしいけど、やっぱり妖怪スピーカーの事を話す結希の表情に偽りの想いなんて感じられなかった。
「結希はもう帰るの?」
放課後、生徒たちがバラバラと帰りはじめて私は隣にいる結希に聞いた。
「うん、もう帰るかな。木村くん、一緒に帰れないらしいから。」
…いや、それ結希の後を付いて行ってるからな。言わないけど。
「そっか。じゃあな」
また明日、と言うと結希は教室から出て行った。
先週より、確実に暖かくなってきている今。
季節は変ってゆくのだ。
ニットを着ているのが暑くなってきたか。パタパタと胸元を握って自分を仰いだ。
まったりと時間が過ぎるのを感じる。
教室には私しか残っていなかった。