十日目の判決 -完-
数百メートル先では結希が歩いている。
妖怪スピーカーの隣で歩いていると、何度も思うけどほんと無駄にデカいな君。
それでそのイケメン顔だろ。
…尾行に向いてねぇな、おい。
「結希の帰り道、いつもと同じ?」
「うん!!!ギャハハ!!結希ちゃん、駅まで真っ直ぐ帰るからね〜!!!」
そうか。うるさいぞ笑い声。
バレないように、見失わないように、私と妖怪スピーカーは結希をついていく。
意外と楽だな、尾行。
そんな事を思っていると、隣の妖怪スピーカーの動きが止まった。
高校の校舎が振り返っても見えなくなったところだ。
「どう…した…」
妖怪スピーカーを見て、妖怪スピーカーが見つめる先が気になり目を向けると…。
「ケケケッ!男!男だ!結希ちゃん男と一緒〜!」
…笑いながら言うな。君、頭おかしいぞ。知ってたけど。
ゲラゲラ、ゲラゲラ、妖怪スピーカーはずっと笑っている。