十日目の判決 -完-




結希は待ち合わせをしていたかのように手を振って男の方へ近寄っていた。


いや、待ち合わせをしていたのだろう。


私たちの所からだと、結希とその男が何を話しているかは聞こえない。


でも、遠くからでも分かる。結希はいつものようにはにかみ笑顔で、男と話している。


妖怪スピーカー…大丈夫か?


2人がどんな関係かは分からないけど、彼女が放課後待ち合わせをして男と会ったのだ…ちょっとキツいだろう。


「ガハハッ!!同じだよぉ!!前見た時と同じ人だぁ〜!!」


大丈夫みたいだな。そこまでくると逆に羨ましいよ、そのハイテンション。なりたくはないけど。

妖怪スピーカーの表情はニコニコ笑顔だ。



ここから見える男は顔は隠れていてはっきり見えない。


男は私たちと同じ学校の制服だ。結希が会っているのは同じ学校の生徒なんだ。


結希とその男が並んで歩き出した時、



その男の顔がはっきりと見えた。



私の中で、2人の歩く光景が……



「あ〜!!!ケケケッ!あの人、7組の椎名って人でしょ〜!!ギャハハ!!」


男の顔を見た妖怪スピーカーが笑いながら叫んだ。
おい、うるせぇぞ。



私は気付いていた、
男がパーカーを着ていた時点で知ってた。


そこまで驚かない。男が椎名だって事に。


結希の隣に並ぶ男が椎名だって事に。




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