十日目の判決 -完-
昼休み、妖怪スピーカーは結希の所へ来なかった。
結希は意識して見ていなくてもいつもと変わらない結希だと分かる。
久々に彼氏と一緒に帰れる、と結希はすごく嬉しそうにはにかみ笑顔をして言っていた。
「いのちゃん!じゃまたね〜!」
早速、放課後になると結希は教室を飛び出して行った。妖怪スピーカーのいる2組まで迎えに行くんだとか。
まあ、元気だこと。
私も帰る準備をしてスクールバックを肩にかけた。
珍しく、冷たい風が教室を横切った。
変なの。
教室から出ようと出入り口のドアを開ける。
「…あ、」
ちょうど廊下に椎名がいた。
「帰るよー」
「うん」
椎名がヘラっと笑うもんだから、うんと私は返事をしてしまった。
昨日の今日なのだけど。