十日目の判決 -完-





「いのにさぁ、おれの彼女にちょっと聴き込みをして欲しいんだよねぇ〜!ガハハハハッ!!」


なぜ。わぁい?私?


「聴き込みって何」


木村がイケメンだという噂に木村に彼女が出来たという噂が加わったのはいつだったか。去年の秋頃だろうか。


「彼女にぃ〜おれのことどう思ってるのか?みたいなぁ!ハハハッ聞いて欲しいのっ!!」


自分で聞けよ。たぶん、彼女も君の笑い声には鬱陶しさを覚えてると思う。少なからず。


「ケケケッ!おれが聞いてもぉ〜大好きだよっ!ちゅちゅってしか言わないしぃ〜アハハ!おれも愛ちてるよぉ〜ってなって話にならないのぉ〜。はぁ、幸せ!ガハハハハッ!!」


おい、それ絶対話盛っただろ。盛ったよな。誰しもが君みたいにアホなわけないだろ。というかノロケだよな、私に幸せアピールするな。そして笑い声うるさい。

妖怪ケケケッだよこれ。どこから声出てるの。全面スピーカーじゃないの。スピーカーだよねこれ。

てか私、君の彼女知らないんだけど。君くらいだったらいくらでも使える女友達いる気がするんだけど。


「だってぇ〜、ユウキちゃんと1番仲良さそうなのいのだもん!親友でしょ〜!ケケケッ」


だもんって……恐るマジ、妖怪ケケケッ。
相変わらずな喋り方だな。笑い声はパワーアップしまくりだし。

というか親友って…ん?私に親友…いたか?仲の良い友達はそれなりにいるけど。


「ゆうき…結希?」

「おう!ガハハハハッ!!!」


ボリュームを上げるな全面スピーカー。
耳栓が欲しい、今すぐ欲しい。
それか音量を操作出来るリモコンをくれ。切実だ。



結希なら親友と呼ばれるのも頷けるな。
結希の彼氏が妖怪ケケケッこと全面スピーカーだったとは、


んなバカな。恐るマジだぞ。







< 8 / 141 >

この作品をシェア

pagetop