絆の軌跡
ごくりと唾を呑み込む。
目の前に広がる光景に目を見開いた。
古びた袋から溢れる金貨銀貨
高級感溢れる装飾品
鮮やかな色彩の武器達
全てがランタンの光を反射して輝いていた。
驚きで声も出ない。
中でも目を引くのが、5m四方の部屋の中央に鎮座する長方形の宝箱だった。
鮮やかな紅い箱。
金具は金色でとても美しい。
それに近づいてみる。
箱には手紙が挟まっていた。
きっとお父さんの…
すっと引き抜き、2つ折りの紙を広げた。
『ここにあるのは全てお前のために稼いだ全財産だ。
うまく使いなさい。
宝箱に入っているのは家の家宝だ。
肌身離さず持っているんだぞ。
きっとお前の力になるはずだから…』
お父さんらしい、堂々とした字で書かれた手紙。
涙が溢れてきた。
自分の生きる力になる存在なんて、お父さんとお母さんしかいないというのに…
冷たい部屋で一人
静かに泣いた