絆の軌跡



ひとしきり泣いてしまうと、

何故か心が空になってしまったような、

良く言えばリセットされた、悪く言えば隙間が出来たような、そんな感じだ。



腕で涙を拭って宝箱に向き直った。



泣いてばかりはいられない。


強く生きて…そう言われたんだ。



箱の蓋に手を掛ける。

鍵は開いているようだ。


グッと持ち上げると、埃が舞う。



「……?」



中を覗き込んでみると、そこには…


古びた剣があった。



なんとも歴史を感じさせるような…

ボロとも言える。


茶色い剣、と言えば説明になるかもしれない。


柄は黒くて柄頭からグリップにかけて少し細くなっていて握りやすい。

鍔は円形で良く見れば美しい彫刻がしてある。

柄頭には赤い宝石が付いている。

赤の中に緑の光も見える。

柄には青かったであろう飾り紐。


鞘は焦げ茶色で鐺と真ん中、鯉口に金色の金具が付いているが、残念ながら金は輝きを失い、革は所々切れたりボサボサしている。


少し落胆してしまった。

まぁ磨けば綺麗になるかもしれない。


グリップを掴んで持ち上げる。

長さがあり、ずっしりと重い。


剣を抜いてみる。


スッとした長い直剣だ。


そして…変だ。


剣身に七つの窪みがある。

全て同じ大きさで楕円形。

縦幅2cmくらい。


なんだろう、とそこを撫でる。

凸凹してて面白い。
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