絆の軌跡



「シーファちゃん」


「は、はい…」



一緒になってキョロキョロしてた私は、慌てて声の主を見た。

レオさんの真顔がそこにはある。



「今日は日が暮れる前に私達の家に行こう」


「え、でも…」


「それが良いわね。」



ここを出たくないという本心を隠しながら遠慮する。

さっきは家を出るためにと金貨を持って来たのに、
いざそうなると怖かった。

矛盾してるな、と笑いたくなってしまう。



「ここはもう危ないのよ?」



イマナさんが心配そうに言った。



大丈夫です、なんて言えなかった。


また強盗が来たら私は戦えるのか?

出来るわけがない。

きっとさっきみたいに剣を抱き締めて隠れることしか出来ないだろう。


この牧場だってそうだ。

いくら父に家畜の世話の仕方を教えてもらっていたからって、いきなり一人でなんかやっていけない。


私には知らないことが多すぎる。


出来ないことが多すぎる。


私は…無力だ。



『強く生きてね…』



「さぁ、行こう」



私は俯きながら頷いた。

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