絆の軌跡
「ここは私達が片付けておくから、荷物をまとめなさい」
エルンダムさんの指示で荷物をまとめに物置小屋に向かう。
途中、殺されてしまった羊に手を合わせてきた。
ここの家畜達はエルンダムさんの牧場で飼育されることになった。
行き先が決まって一安心だ。
強がらなくて良かったと思う。
大人が来たことで事はスピーディーに決まっていく。
もし、あのままエルンダムさんの家にお世話になることを頑なに拒んでいたら…
私の独りよがりのためにみんなで路頭に迷うことになっていたかもしれない。
ルティナから降りて部屋に向かう。
準備と言ってもそもそも私物なんてほとんどないのですぐに終わりそうだ。
まず腰に付いているポーチの空きに、小物を詰め込む。
そして斜めかけリュックの一番奥に金貨を入れて、その上に最低限の着替えを詰め込む。
それだけ。
剣は腰に差すには長すぎるので、太い革紐で身体に括りつけた。
剣を背負っただけなのに、何故か急にこの部屋に名残惜しさを感じる。
ぐるりと部屋を見渡す。
いろんな思い出が詰まった場所。
当分の間、戻ってくることはない。
ツンと鼻の奥に痛みを感じる。
泣きそうだった。
でも…どうせなら置いていこう
強がりで我が儘な弱い自分を。
「さようなら…」
弱い私
「またね…」
新しい自分になって帰ってくるよ。