絆の軌跡
それから何度も火をつけたり消したり。
段々と精度も上がって一瞬でつけられるようにまで成長した。
それが嬉しくて何度もつけて消して…
「シーファちゃんごはんよ」
イマナさんが呼びに来たときは、もう汗が流れ落ちる程だった。
「「いただきます。」」
3人で手を合わせてから頂く。
美味しそうなクリームシチューとフランスパン。
大ぶりに切った野菜は食べごたえがある。
「これしかなくてごめんなさいね」
「いえ、すごく美味しいです!」
具沢山でボリュームたっぷりなシチュー。
十分すぎる。
「ありがとう!そうだっ、あなたあの話を…」
あの話?
「おぉ、そうだった!」と、レオさんはスプーンを置いた。
「君をワブフォード魔術学園に入学させようと思っているんだが…どうかな?」
「ワブ、フォード魔術学園?…って何ですか?」
「勉強をする所よ。ほんとは6歳から小学校に通って、その後高等学校に入学するんだけど…
シーファちゃんは小学校行ってないから大変かもしれないけど、私達の息子も通ってるから安心して?」
「この国で唯一の私立学校で、全寮制。成績も優秀な所だよ。
学校に行かないと将来困ることになるから行った方がいいよ」
聞き慣れない言葉が次々と流れていく。
でも二人の真剣な眼差しから大事なことであるのことは分かる。
「えっと…学校については一応理解しました。
でも全寮制…?とか私立学校って何ですか?」
「全寮制っていうのは、簡単に言えば学校に住むって事だな。
学校は二種類あるんだ。
公立学校と私立学校っていうんだけど、公立は国が建てた学校、私立は個人が建てた学校なんだ。
…他にわからない事あるかな?」
優しく教えてくれるレオさん。
これ以上は訊くのも躊躇われて、黙る。
嫌、という訳じゃない。
ただ頭がついていけないのだ。
親が居なくなって、知らない人に会って、初めて外の世界に出て…
急激な環境変化に耐えられるのか?
自分がよくわからなかった。
「私は不安です。初めて家を出て…一人で生活出来るのか」
素直に気持ちを伝えてみる。
エルンダムさんなら自分を良い方へ向かわせてくれる気がした。
私の気持ちを伝えた上で、学校に行くべきと言ってくれるなら大丈夫。
そんな気がした。