絆の軌跡
「すいません。先生にも持たせてしまって…」
「別に…」
先生が連れていってくれた雑貨屋さん。
なんでもワブフォードの女子に人気があるお店らしい。
可愛いものが沢山置いてある雑貨屋で、マグカップやハンカチ、ヘアゴムなどいろいろなものを買ってしまった。
文具と日用品。持ちきれずに先生に持たせてしまったのだ。
申し訳ない気持ちで帰路につく。
ふと店の中が目に入った。
「あっ…!」
「ん?」
思わず足を止める。
カラフルな店内。
目が離せない。
心なしか甘い香りが漂ってくる。
「あー、あれは菓子屋だ…入るか?」
「いいんですか…?」
「おう。」
両手が塞がっている私に変わってドアを開けてくれる。
「すごい…」
瓶の中に入ったお菓子が並んでいる。
カラフルで色んな形があって綺麗だ。
「いらっしゃい。お菓子ここに詰めてね。荷物ここに置いていいから」
奥の椅子に座りながら話し掛けてきたのはおばあさんだった。
手渡してくれたのは四角い瓶。
「ちゃんとスプーンで取ってね。手掴みはダメよ」
「はい、ありがとうございますっ…!」
「え、俺も?」
そわそわしながら手近な瓶を開ける。
紫の小さな球体が入っている。
甘い匂いがする。
「これは何ですか?」
「グレープフレーバーのキャンディーだな」
アーサー先生が入れるを見て、私も真似して入れる。
「好きなの入れていいんだぞ?」
「どれも食べたことないので…」
「そうか」そう言うとひとつひとつ説明しながら入れてくれた。
ガム、グミ、リコリス。
聞いたことないものばかり。
四角い瓶が一杯になるのは早かった。
「わぁ…先生すごいです!」
瓶を横から見ると虹色になっている。
「まぁなっ」
ふんっと鼻を鳴らす。
ずっしりと重くなった瓶を持っておばあさんのもとに向かう。
「あら、綺麗に詰めたわね。会計は一緒?」
「いえ…」
「いや、一緒で」
「え…」
「はいはい」
四角い瓶と薄い長方形の板を合わせて銅貨5枚。
「貴女ワブフォードの生徒さん?」
「はい!」
「そうなの。お勉強頑張ってね、頭を使う時は甘いものが一番よ。チョコレートもう一枚付けてあげるわ」
「ちょこ…れーと?…ありがとうございます!」
「えぇ、また来てね。」
「はい!また来ます!」