絆の軌跡
腕の中に沢山の紙袋を抱えて仕立て屋さんに向かう。
「おいっ」
「は、むごっ」
口の中に何かを突っ込まれた。
コロンと舌の上に乗ったのは、丸くてざらざらしてて甘い。
「ストロベリーキャンディーだ」
「おいひーですね」
「だろ?」
自慢気な表情は癖なのだろうか。
「制服取りに来ました」
店に入ると、大きな紙袋を持ったおじいさんが立っていた。
「こちらです。ブレザー、スカート、ローブ、ワイシャツ、靴下が入っております。
ネクタイとリボンはどちらに致しますかね?」
「どっちがいい?」
「んと…ネクタイで」
「ではこちらを…一式銀貨8枚です」
「はい。…」
「2…4…6…8。はい、確かに。毎度」
先生が紙袋を受け取って外に出る。
「普通生徒さんは一人でこんなにいっぱい買いに来るんですか?」
「いや、制服以外はどこにでも売ってるからな。それに親も…」
「?」
最後の方が小さくて聞こえなかった。
「すみません、もう一度…」
「おいっ帰ったぞ!」
先生がオルテの扉を勢いよく開ける。
私の声は届かなかったようだ。
まぁいいか。
「あら、お帰りー!荷物いっぱいね」
ルージュさんが私の荷物を半分持ち上げる。
カウンターの上にそっと置くと、ここに置いて、とカウンターを叩く。
「お昼ご飯作っておいたわ」
「ありがとう。
シーファ、休憩なしで悪いが飯食ったらすぐ出るぞ。
湖迂回すると時間かかるからな」
「はい!」
「俺は馬の準備してくるから先食ってろ」
「はいっ!」
さっき買ったものを持って先生が外に出る。
「はい、ご飯。学校頑張ってね!」
「ありがとうございます!」
スプーンを取って食べ始める。
クリームシチューだ。
しっかり味わいつつも掻き込む。
学校が楽しみなのか怖いのか…
緊張を振り切るようにシチューを食べた。
食べ終わると、先生が食べ始める。
私は2階に行ってマントを外す。
古剣を身体に着けてリュックを肩に掛けた。
そしてマントを巻く。
「コリー、行こう」
ベッドで寝ていたコリーも呼んで、部屋を綺麗にして一回に戻った。