絆の軌跡



「質問は?」


「あ、えっと…学費について…。成績によって何とかって…」


「うむ。学年順位10位以内は学費免除のことかな?」



免除…

それはありがたい。



「まぁ、それについては別の機会にして…その剣じゃ」


「!」



私が背負った剣を指差して言う。



「それを校内で持ち歩く訳にはいかないからのぉ」


「こ、これは…!」



剣を強く握る。


これは手放したくない。


肌身離さず…そう言われたのだから。



「大切な物だということは分かっておる。

だからわしが厳重に保管しておこう」


「でも…!」


「シーファっ!」



アーサー先生に腕を掴まれてハッと我にかえる。


いつの間にかソファーが立ち上がり、古剣を強く抱いていた。



「すいません…」


「良いぞ…して、わしに任せてみないか?」


「…はい」



ここに入るためにはそれしか無いのなら…仕方がない。

それに大人に任せた方が安心かもしれない。


そう自分に言い聞かせ、納得することにした。



「すまんの…では」



ブツブツと何かを言い始めたら校長先生。


すると、長い棒が2階から校長先生の手に向かって飛んできた。


それを剣に向ける。



「ほいっ」


「わっ…」



校長先生が棒を振ると、剣が手から浮く。

そして本棚に立て掛けてあった長方形の箱の中に納まる。

ガラスの蓋がしまると、箱の中で剣に鎖が巻き付いて南京錠が掛かった。



「すごい…」


「簡単な魔法じゃ…さぁ、これが鍵だよ」



差し出された鍵を受け取る。


金色の綺麗な鍵だ。



「必要なときは取りに来なさい」


「はいっ!ありがとうございますっ」



これなら安心だ。


鍵を握り締め、無くさないところはどこだろうと考える。



「さてっ!これから校内案内…と言いたい所じゃがの、生憎ここは広すぎてな。

たぶん無意味じゃな。案内は無しにして、生活の中で覚えてもらおう。

もうすぐ夕飯じゃ。

アーサー君、この子のご飯を保健室に持って行ってもらっても良いかの?」


「分かりました。」


「シーファ君、しばらくはアーサー君に君の世話を任せる。

知っている者の方が安心するじゃろ?」


「はい、ありがとうございます!」



ホッと息ついた所で、ゴーンゴーンと鐘の音が聞こえた。



「おや、夕食会が始まってしまったな。

ヘカテール先生。シーファ君に制服を…

保健室で着替えさせてやってくれ。」


「分かりました」



鐘の音の間に入ってきたのか、ヘカテール先生が扉の前に立っていた。



校長先生とアーサー先生が部屋を出ると、ヘカテール先生が制服の入った紙袋を渡してくれた。



「では、保健室に行きましょう」


「はいっ」



先生に続いて部屋を出て、廊下を歩く。


しばらく無言だったが、やがてヘカテール先生が口を開いた。



「明日の最初の授業は私、ヘカテールが担当の魔法学です。

魔法の経験は?」


「ちょっと教えてもらったことがあります」
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