絆の軌跡
ルティナを走らせてしばらく…いや、1分も経ってない。
私の目に信じられない光景が飛び込んで来た。
「嘘……」
ルティナを止め、飛び降りてそれに駆け寄る。
羊が倒れていた。
周りは血の海。
ズタズタな身体。
モコモコの毛皮は紅く染まっていた。
身体はすでに冷たかった。
「どうして…?」
鉄臭さで吐き気が込み上げてくる。
良く見れば家の方向だと思われる方にもう一頭倒れていた。
切り裂かれた身体が痛々しい。
さらに点々と続く血痕を追うと、次々に死んでいる羊がいた。
全部で5頭。
最後の1頭は四肢と頭部が切り落とされている。
誰がこんなことを…
家では屠畜して解体して肉を頂くことはあった。
でも、こんなやり方…
まるで遊んでいるような…
八つ当たりのような…
酷すぎる。
ドクンドクンと心臓が跳ねる。
血痕は更に家の玄関まで続いている。
「お母さん…お父さんっ!!」
どうか、無事でありますように…
私はひたすら家に向かって駆けた。