誘惑の毒林檎
「なんにもないよ」
「うそ。…時々悲しそうな顔するじゃん」
なんでそんなこというんだよ…
言いたくない。俺がどんな人間か東田さんに知られたくない
「…神埼くんが教えてくれたら…教えてあげる…」
「ねぇ……なんで俺の事が知りたいと思うの?」
「笑ってほしいから」
え?笑ってほしい?
なんで?
疑問がいっぱいあった
「…笑ってほしいなら…東田さんが笑わなきゃ」
そうだよ、俺はいつも笑ってるじゃんか、
でも…その言葉が素直に嬉しかったんだ
「……私は笑えないよ」
「なんで?」
「笑えないから笑えない」
意味がわからない。
「じゃあ笑わせてあげる。」
「いい、余計な事しないで」
と言いながら頬は少しピンクだった。
「東田さんってツンデレだよね」
「はぁ?」
「ほら!」
「ツンデレじゃない」
「ツンデレだよ!」
「帰るから…」
怒る東田さんを少し愛しく思えたんだ
「送るよ」
「寄るとこあるし」
「゛花崗さん゛って人の本?」
「……違う」
東田さんの目が泳ぐ
なんでこんなわかりやすいんだろう。
けど昔から人がなに考えてるかは行動で少しわかってしまう
当たるかは知らないけど
「なら帰ろ」
手を優しく繋いだ
でも嫌がらなかったから嬉しかった…
やっぱり東田さんはツンデレだ