血の雫
★久しぶりの感覚
僕が目覚めた先に1番に見えたのは、クリーム色の天井だった。
体には、薄めの細長いタオルが置かれていた。
僕はまだ重い瞼を頑張って開きながら、辺りを見渡す。
ベッドとテーブル、椅子、本棚しか置かれていない殺風景な部屋だった。
カーテンは薄いレースのみ閉められていて、少しだけ太陽の光が差し込んでいた。
少しぐらいの太陽の光なら、大丈夫。
「あ、起きた?」
ガチャリと扉を静かめに開けて入ってきたのは、先ほどの黒髪の女だった。
手足のバランスは良い方で、太っていない、普通の体型だった。
女は手に持った洗面器を、ベッドの脇に置いた。
「気を失っていたから、一応あたしの家に連れてきたんだ。
心配しないで、変なことはしないから」
僕は真っ直ぐと、女を見つめた。
ふんわりと優しげな笑みを浮かべていた。
でも、僕は人間なんて信用しない。
ムーンライトで習ったんだ。
人間は恐ろしいものだと。
僕も、前に人間界に来た時、そう感じた。
人間なんて、信用しないんだから。