血の雫
いつだったかな。
以前にもこうして神様を恨んだことあったよね。
そうだ…。
あの日だ。
あの、雨の日……。
『お前なんて学校に来なくて良いよッ!』
『ムーンライト家の息子だからって、調子に乗るんじゃねぇよ!』
『どーせお前はお父様に言えないんだからな』
『お前、へたれ…だもんな。アハハ!』
『行こうぜ』と言って仲間たちと消えていくアイツら。
降りしきる雨の中、傷だらけの僕は立ちつくしていた。
よく…わかってんじゃん。
僕が父さんに言えないこと。
僕が何度殴られても蹴られても、一切抵抗しないこと。
いじめるのには…もってこいの性格しているよね、僕って。
あの時も神様を恨んだんだ。
どうして僕ばかりいじめられるんだって。
どうして僕だけこんなに傷だらけなんだって。
そして、同時に知ったんだ。
神様なんて…世の中に存在しないって。
弱い人間どもが作りだした存在でしかないんだって。