血の雫







「……ハァ」




僕は溜息をついた。

すると、体に何か冷たいものが当たった。





「……雨………?」





真っ暗な空から、雨が降っていた。

校門から離れて歩き続けていた僕は、その場に立ち止まった。

だけど、再び歩きだす。





雨は次第に強さを増し、容赦なく僕の体に降り続いた。

今ではもう、滝のような雨だ。





サラリーマンらしき男の人が、頭の上に鞄を乗せて走っていた。

すれ違う瞬間、男の人は僕を見て驚いたような顔をしていたけど、通り過ぎて行った。




驚くのも、無理はないのかな。

傘もささずに歩いているんだもの。

驚かずには、いられないよね…。





僕は走って通り過ぎていく人間を、他人事のように見ていた。

髪の毛が頬に貼りつくけど、気にしない。

雨が当たるけど、気にしなかった。







< 105 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop