血の雫
「……ハァ」
僕は溜息をついた。
すると、体に何か冷たいものが当たった。
「……雨………?」
真っ暗な空から、雨が降っていた。
校門から離れて歩き続けていた僕は、その場に立ち止まった。
だけど、再び歩きだす。
雨は次第に強さを増し、容赦なく僕の体に降り続いた。
今ではもう、滝のような雨だ。
サラリーマンらしき男の人が、頭の上に鞄を乗せて走っていた。
すれ違う瞬間、男の人は僕を見て驚いたような顔をしていたけど、通り過ぎて行った。
驚くのも、無理はないのかな。
傘もささずに歩いているんだもの。
驚かずには、いられないよね…。
僕は走って通り過ぎていく人間を、他人事のように見ていた。
髪の毛が頬に貼りつくけど、気にしない。
雨が当たるけど、気にしなかった。