血の雫







がむしゃらに走り回っていると、見覚えのある場所に辿り着いた。

大きな木が目立つ、家から最も近い公園。




ここであたしは、

ドロップを見つけたんだ。

太陽に当たってぐったりしていたドロップを。




あたしは公園内に入った。

そして、電灯の近い木の下にいる、彼を見つけた。






「ドロップ!!」





傘を持って、急いで駆け寄り、近くにしゃがみ込む。




ドロップは木の下で雨に濡れながら、目を閉じていた。

手には何故か泥がついていた。

あたしは急いでドロップに傘をかぶせ、その肩を揺すった。





「ドロップ!ドロップ!!しっかりしてッ!!!」




冷え切った体に触れた途端、涙が溢れてくる。

頑張って名前を呼んで揺するけど、ドロップの目は開かない。




あたしはあの時と同じように、ドロップを肩に背負った。

相変わらず、軽い。

ドロップをおんぶしたあたしは、傘をさしたまま、病院へと急いだ。








< 119 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop