血の雫
最終章
★人種を超えて
★ドロップside★
風鈴らしき涼しい音色で、僕は目を開いた。
真っ先に見えたのは、真っ白い天井だ。
ここ…どこだろう……?
ふと左手にぬくもりを感じて、ゆっくり首を動かす。
そして、僕の左手を離さないようギュッと握る人物を見て、僕は目を見開いた。
「……アキナ………」
僕の左手をしっかり掴んだまま、アキナは穏やかな寝息を立てていた。
僕は上体を起こし、あいている右手でアキナのサラサラな黒髪をなでた。
自然と、涙が流れてきたけど、僕は拭うことをしなかった。
「……アキナに感謝しろよ」
「た、拓也さん…」
いつの間にか開いていた病室の入り口に佇む宇津木拓也を見て、僕は再び目を見開いた。
「あのどしゃ降りの雨の中、お前を背負ってアキナが来たんだ。
アキナがお前を見つけていなかったら、お前は肺炎で死んでいたかもしれないんだぞ」
アキナが…僕を……。