血の雫









「どうして……」

「ん?」

「どうしてアキナは…僕のこと、突き放そうとしないんだ……?」




僕は、人間じゃないんだよ?

化け物扱いされるのは…辛いけど、本当のことだ。

そうやって人間は罵るものだと思っていたのに。

何でアキナは…優しくしてくれるんだ……?





「……その理由は、よくわからないけど。
アキナもドロップと似たような過去持っているからじゃないか?」

「え?」




僕は拓也さんを見た。

アキナが、僕と似たような過去を…?





「アキナも小学生から中学生まで…いじめられたんだよ」




アキナも……?

僕はアキナの髪を梳いた。

サラサラの柔らかい黒髪が、艶めいた。





「よく怪我して、当時医大生だったボクの所に、アキナ泣きながら来ていたよ。
ご両親は仕事で忙しくて、言えなかったみたいだね」



アキナも……。






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