血の雫
アキナは僕を抱きしめ返し、僕の背中を優しく叩いてくれた。
まるで泣いている子どもをあやすかのように。
「ドロップが倒れていて、驚いたよ。
凄い熱だったし…」
「ごめんね…心配かけて……」
「無事で良かったよ…」
「……アキナ」
「何?」
僕はアキナと真正面から向き合う。
「ありがとう……」
「どうしたのよ、いきなり」
アキナは涙を流しながらも笑った。
「僕の正体を知りながらも、僕のこと探してくれて。
あんなに酷いこと言ったのに…」
「馬鹿」
アキナは再び僕を抱きしめた。
「ドロップの嘘だって、すぐにわかったよ。
ドロップって凄く優しいこと、あたしは知っているもん。
だから、あれがあたしたちを遠ざけるための嘘だって、すぐにわかったよ」
「……ッ!」