血の雫








「ありがとう……」





人間って、最初は凄く嫌いだった。

でも、それは勝手な思い込みだったんだね。





アキナは人間だけど、凄く優しい。

僕が見ていたのは、人間のほんの一部だったのかもしれないな。

あの時諦めないで人間と関わっていれば、優しい人間に会えていたかもしれないな。





でも、あの時探さなくて良かった。

あの時優しい人間に会っていたら、僕はアキナの優しさに気づけなかったかもしれない。

あの時があったから、今僕はここでアキナに出会えたんだ。





「アキナ…。
僕、アキナのことが好きなんだ」





もう、間違えない。

同じ過ちは、繰り返さない。





「あたしもっ…。
ドロップが、好き……!」




アキナはにっこり可愛い笑顔を浮かべた。

僕も、アキナと一緒に笑う。





大丈夫。

かけがえのないアキナがいるんだ。

傷つくのももう、怖くない。

上手く、笑えているはずだよ。








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