血の雫
★もう1度
☆アキナside☆
「大丈夫かな…」
「平気だよ。
あたしがいるから、心配しないで」
何度繰り返しただろうか、この会話。
内心笑いながら、あたしはドロップの手を握った。
「なにかあったら、あたしが守ってあげる」
「…何でそれ、男の僕が言えないんだろ?」
「ドロップが言うイメージ、あんまりないや」
「ぼ、僕ってやっぱりヘタレなのかな…」
しゅん、と肩を落として落ち込むドロップ。
あたしはまるで犬をなでるような感覚で、ドロップをなでた。
あたしより少し背が高いだけだから、簡単に頭のてっぺんに触れることが出来る。
ドロップって本当に、可愛いよね。
でも、ドロップが不安な気持ちわかるな。
だって今あたしたちが向かっているのは、学校だもん。
ドロップは自分の世界に帰らず、一応まだ人間界に留まっている。
いつでも帰れるよう、鍵代わりの羽根は持っているみたいだけどね。
『帰る前に、もう1度クラスの皆に会いたいんだ』
退院した直後、ドロップは強い意思のこもった瞳をあたしへ向けたんだ。
少し…いや、かなり気弱なドロップの出した決断なんだ。
あたしが反対するはずなかった。
あたしも、戻る前にケリを付けておいた方が良いとは言っていたから。
ドロップもやっぱり心残りだろうしね。