血の雫
エピローグ
それから、数週間後。
眠い人もいるからだろうが、教室内はやけに静かだった。
現在の時刻は、朝8時20分。
30分過ぎてしまうと遅刻なので、クラスメイトは揃っていた。
昨日。
ドロップは自分の世界へ帰ってしまった。
それも、誰にも何も告げずに。
今日の朝、いつも通りドロップを起こしに部屋へ行くと。
ベッドの上で寝ていたドロップの姿はなく、和室に置いてあったキャリーバッグが消えていた。
あたしは朝ご飯も食べずに朝から泣いてきたので、目が今赤くなっている。
その様子を見たクラスメイトが、あたしが泣いた理由を聞き、こうして現在静かなのだ。
「……勝手だよなぁ、アイツも」
泣いたのか鼻声で、橋本くんが呟く。
その声に、「そうだよな」と同じく男子たちが鼻声で答える。
女子は隅っこに固まって嗚咽を漏らしながら泣いていた。
「本当、不思議な奴だったな……」
「そりゃ人間じゃねーからな」
男子の声に、乾いた笑いが教室内に響いた。
だけどすぐに、嗚咽だけが響く静かな空間になった。