血の雫
ドロップが改めてクラスメイトになって。
本当に笑顔が弾けたクラスになった。
前は教室で必要最小限にしか話さなかったあたしも、クラスメイトと一緒になってはしゃいだ。
常に皆の輪の中心にいたドロップも、無邪気な笑顔で楽しんでいた。
それなのに。
ドロップはあたしにさえも何も言わずに、姿を消した。
サヨナラもアリガトウも、何も言っていないのに。
…彼女に何も言わないで消えるなんて、彼氏失格だよね。
でも、ドロップはいつか帰ることになっていたんだ。
ドロップは吸血鬼界を背負っている家の跡継ぎなのだから。
いつか別れる日が来るとは、あたしも皆も承知していた。
だけど。
「こんなっ…終わり方…ないよ……ッ」
何も言わずにいなくなるなんて。
お見送りぐらいさせてよ。
辛くて行ってほしくないって我が儘言うかもしれないけどさ。
せめて一言声をかけてほしかったよ。
「いなくなるって、グズッわかっていたら、お別れ会とかしたのによ」
普段笑顔の溢れている橋本くんが、鼻声だ。
やっぱりドロップは、あたしたちに大切なことを教えてくれた。
凄く感謝しているから、その感謝も言いたかったのに。
本当…
「バカヤロ……ッ」